【小説】『ハローサマー、グッドバイ』ラストの急なSFがすごい!【感想】

『ハローサマー、グッドバイ』マイクル・コーニイ (著), 山岸真 (翻訳)。
河出文庫のものを読みました。訳書なのですが2019年、現在に読んだ限りだと特に読みづらいところはなかったと思います。

もともと地球にある言葉を改変しているのでどうしても出てしまう翻訳の不自然さも少なかったです。
正直、途中まではなんでこんな言葉を使っているのだろうとは思いましたけどね。

そんなわけで感想を書いていきたいと思います。

前半は恋愛小説

Amazonを見ると、SF史上屈指の青春恋愛小説と書いてあったのでかなり期待していたのだが、思ったより恋愛小説の色は薄かった。
自分の中でハードルを上げすぎたのもあるが終盤の展開に圧倒されて、そっちの方が印象に残った。

というか恋愛小説感があまりないと思う。

恋愛小説の傑作というと禁じられた恋があって、そのハードルを越えるために四苦八苦するイメージだが、割とふつうに付き合いだしたのでなんか普通なんだよね。
盛り上がりそうなリボンとブラウンアイズ、主人公の三角関係も特に燃え上るところはなかったかなと思う。

ただ、青春感はかなりよかった。旅行地で少年少女が海で冒険して、大人の秘密を暴く。
ありきたりなものだが、やはりクリアな気持ちになる設定である。

港町という舞台も素晴らしい。漁業で栄えていた町というのが良く伝わってくる。
主人公がストロングアームたちとともに街の一員になっていく過程が良く描かれていたと思う。

終盤のSF

さて、問題の終盤である。

ラスト15%くらいから怒涛の展開すぎて驚いた。
スクウィントやシルヴァージャック、メストラーの死で伏線が張られていたが、まさかこのような真相だとは思いもしなかった。

やたらと寒いという言葉が使われていたのはそういうことだったとは。
冷戦の時に書かれた本なのかと思ってたけど、なるほどなと感心した。

そして、この階級の高い人々だけが中にこもって冬を越すという計画を聞いたときにはかなり悲しかった。
主人公が見つけた船がきっかけで町の人々と役人たちが戦争ムードになっていたのが、仲裁されると思っていたからである。

その期待を裏切って末の計画だったために本当につらかった。
しかも、主人公の仲間の結末が惨すぎる。

落ちぶれたウルフ一家はまだしもリボンはなんともいえない気持ちになった。
特に主人公に誘惑をするシーンは一線超えてしまった気がして、とても虚しい。

そして、裏切りに合い、最後の最後冬眠のシステムに気づく主人公。まさかのハッピーエンド。
最初は何言ってるのか理解ができずに読み終えてしまったが、ロリンが救ってくれるという話だったのね。

個人的にはあそこで死んでしまった方が面白かったと思う。
伏線が張られていたとは言え、氷魔とロリンの存在は少しずるじゃないか?と感じてしまった。

ここらへんはどうなんだろう?続編になりたちが書いてあったりするのかな?
パラークシの記憶というタイトルで刊行されているらしい。暇があったら読んでみたい。