小説『何者』 就活の描写が鬱すぎる・・・【感想】

小説『何者』読みました。朝井リョウさんの作品です。
第148回の直木賞を受賞した本作ですが、起承転結がしっかりしていて、とても面白かったです。

詳細な感想の方を綴っていきたいと思います。

最悪な就活小説

物語は拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良の5人が就活会議を始めるところからスタートします。
序盤の感じだと就活を通して、成長していく熱いストーリーなのかなと思わせるのですが、まったくそんなことはない

全編通して、就活のリアルで嫌なところを見せられることとなるとは思いもよりません。
悲しいのが、誰一人幸せになっていないことです。主人公は最後に成長したことが仄めかされるのですが、理香の仕打ちを考えると、なんともいえません。

とにかくラスト付近ががつらい

中盤、瑞月は瑞月の親と確執があることを告白します。
「ちゃんと、就職しないとダメなんだ」

瑞月の話を聞いた直後でも悲しいのに、後になってその確執が、光太郎の夢を追う姿との対比で余計物悲しさを募らせるのです。
しかも光太郎自身も、実は闇を抱えているのがつらい。

内定が出た後、光太郎は自分ことがただ就活がうまいだけだとか、何にもなれた気がしねえだとか、急に卑下するのです。
これまでムードメーカーで中心人物、陽気な人物として描かれただけに、キャラクターが崩れ落ちた時の衝撃がズシンと来ます。

そして最後の理香と拓人のシーン。理香が拓人に言う一言一言が身に染みて仕方ありません。
おそらく、ギンジと隆良の関係が理香と拓人のものと似ているからでしょう。

泥臭く結果を求めて挑戦するギンジ、理想だけ語って行動はしどろもどろな隆良。
その二人の対比で拓人は隆良を軽蔑しているシーンがあります。

それゆえにおそらく読者が感情移入しているであろう拓人自身に対する理香の言葉が説得力を与えるのです。
その言葉がつらすぎて、実はみんな5年だったっていうオチが僕の心に突き刺さりませんでした。

トリックが悪いとかではなく、あくまでそれ以上の衝撃だったということです。
ラストのやり取りには本当に心を抉られました。

最後に

全編を通して、悪口のようなことを書き並べましたが、エンターテイメントとしては最上のものだと感じました。
だれるところもなく、スラスラと読むことができて、読書の楽しさを十二分に味わえました。

本当に直木賞にふさわしい作品だと思います。

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