世にも奇妙な君物語、感想。朝井リョウは面白くていい・・・

  • 2018年12月7日
  • 2019年2月25日
  • 書評

世にも奇妙な物語はご存知ですよね?フジテレビでたびたび放送される、特別番組です。
20分くらいで編成されるショートドラマを集めたものです。30年近く愛されている番組だとか。

そのタイトルをもじって、小説にしたのが「世にも奇妙な君物語」。
著者は朝井リョウ、「何者」と「桐島、部活やめるってよ」のあの方です。

僕はまだ「何者」しか読ませていただいていないのですが、エンターテイメント性が強く、展開性に優れた作家さんだと感じました。
1989年生まれのお若い方なのですが、直木賞を獲得しているそうです。

そんな朝井リョウさんによる短編小説「世にも奇妙な君物語」の感想を付けさせてもらいたいと思います。

第一話 シェアハウさない

フリーライターの浩子がシェアハウスの記事を書くために、居住者に探りを入れる物語。
どんなオチで終わるのだろうかと考えていたのですが、まったく予想していない形でたまらなかったです。

中盤で何かを隠していることが示唆されるのですが、何かしらの異常を持っていて見張り合っているとは考えもしませんでした。
また、種明かしが急激なのが個人的にポイント。話の持っていき方がうまく、豹変する恐怖をより大きくしていたと思います。

第2話 リア充裁判

コミュニケーション能力促進法が成立した世界で、リア充裁判にかけられた人間を描いたストーリーです。
SNSやいいねではなく、本当のつながりを重視する主人公、知子。そんな彼女が議長を納得させ、物語は終わるのかと思いきや。

すべてが知子の空想だったというオチが明かされます。そして、最後に知子が就活を終えていないことが示され終了。

朝井リョウさんは就活が嫌いなのでしょうか?
「何者」でも就活の闇をテーマにして描いていましたが。今回も最後に絡ませていますね。

空想の中で知子は勉強している自分が、本当は正しいのだといいかったのでしょう。

しかしそれを漫画にするとは・・・
ちなみに引用元にするには心もとない。wikipediaですが朝井リョウさんについてこんな記述がなされています。

大学時代はストリートダンスのサークルに所属。

作家志望者の多い学部に所属していたが、作家志望者がバカにするようなサークルにあえて入ったという。

知子の味方なのでしょうか?それとも皮肉でこの話を書いたのでしょうか?僕にはわかりません。

第3話 立て!金次郎

幼稚園担任の金山孝次朗が学人の個性を活かす物語。
親のクレームが大きな影響を及ぼす園では、園児の個性より、ひとりひとりが目立つことを優先しています。

そのことを意識して主任の須永は、誰が、どの行事で目立つかの予定表まで機械的に作成していました。
しかし実は、先生たちの競争性を向上のため、園児の親たちによって、どの先生がどの行事で目立つかの予定表を作成されていたというオチです。

評価を付ける側の自分たちが、実は親たちに付けられていた。そんな皮肉めいたこの関係がとても好み。
まったくそのことを匂わせていない切り口で個人的には、この本で一番の話でした。

第4話 13.5文字しか集中して読めな

子供の直喜が、ライターの香織の真似して因果応報を受ける物語。授業参観で母親の誤解を招く文章を披露し、大恥をかいて終了。
つまらないわけではないが前3つのオチと比べると一段階さがるかなというのが感想です。

いままでやってきたことが自分に帰ってくるという面白さはありますが、感心するような締め方が続いていたので相対評価では微妙かな。
単体で見ると面白いと思うのですが・・・

第5話 脇役バトルロワイヤル

脇役たちと主役の座を奪い合う物語。
脇役らしい言葉を吐くと床が落とされオーディションが不合格になるというもので落とされ方が凝っていて面白かったです。

そして最後に主人公が主役の座を諦め、落ちていくというオチ。脇役の話が伏線になり、7人目が見つかり安堵する。
とてもきれい流れだと思いました。物語を締めくくるにはとてもいい終わり方です。

まとめ

どの話もそれぞれ面白かったです。個人的に好きだったのは3話ですかね。

オチが全然読めず、しかも、衝撃的なのがとてもよかったです。
また暇になったら朝井リョウさんの作品を読ませていただきたいと思います。